Oculus Quest その3 Insta360 EVOで写真・動画撮影編

概要

本記事ではInsta360 Evoを用いた3D VR動画の撮影とOculus社のOculus Quest上での表示方法について記載する。
※初版は2019年6月22日となる。
※2023年5月23日 Meta Quest2でのUSB転送について追記。

Insta360 EvoとVR180

Insta360 Evoは3D VRの写真や動画の撮影が可能になったInsta360シリーズ製品だ。世の中には360度視界の動画があふれているが、それらの統計を見ると実際はほぼ正面しか見ていないとのこと。簡単に書くと、撮影した景色のほとんどが見られていないから無駄ともいえる。例えばライブハウスの映像。確かに客席も見たい時はある。だけど正面のステージだけにして、それを3Dで見られたらより良いだろう。そこで注目されるのがVR180規格だ。FacebookやYoutube等で採用されている規格で、後ろ180度の景色を撮らずに前方に180度の視界を2つ置き、両眼での立体視をできるようになっている。このVR180はGoogleが提唱した規格だ。

カメラは国内の代理店が執筆時点で存在しているため入手は容易だ。

 

カメラ本体

パッケージの中には3脚も入っており、折りたたむことで手持ちのバーにすることもできる。そして持ち運び用の袋とUSBケーブルが入っている。

こちらも付属する。スマートフォンに載せることで簡易的な立体視ができるグラスだ。撮影用のアプリはVR対応しており、こちらのグラスとスマートフォンの内蔵ジャイロを組み合わせることで簡易的な立体視ができる。専用のVR機器のような没入感は全くないので前述の通り「簡易」現地確認のみが可能だ。無いよりマシなだけなので、筆者は持ち歩いていない。

そしてこのグラスはコンパクトに折りたたむことも出来るので機動性が高い。

カメラ本体に戻ろう。前面は実際の人間両眼の距離と同等にレンズ間の長さがあるのでVR内への投影時に相性が良い。
そして裏面。このカメラは180度のVR180形式以外にも、過去のInsta360シリーズ同様に360度の撮影も可能になっている。そのため折りたたむことが可能だ。

弱点は?

360度撮影が可能なカメラは多いが、コンシューマ価格帯で買える手ごろな画質のカメラは執筆時点でこれともう1つの製品だけだ。弱点があるとすれば3点。1点目は他の方のブログにも書かれている通り、メモリーカードの挿し口が少し不安だ。出荷時はこのようにシールで覆われているが、ここを開く必要がある。

ここにUSBポート(充電/データ取り出し)とマイクロSDカードスロットがある。汚れやすかったり、少しコツンとぶつけた際にカードが抜けてしまう可能性がある。その点は気を付けよう。
ちなみにSDカードはUHS-I V30 の転送速度が必要だ。このカメラは5K映像を撮る事が可能なためデータ転送速度は重要なファクターだ。

そしてもう一つ。カメラ設定はスマホから行う。明るい場所なら特に必要ないかもしれないが、ライブハウスのような場所の場合はシャッタースピード等をいじらないと厳しい。カメラ本体だけではプレビューも見れないので慣れが必要だ。

そして3点目。シャッター音が鳴らないので撮れたか撮れてないのか分かりにくい。撮影後は早めに確認しよう。連続シャッター時は遅れて撮影される事がある。

 

撮影と結果~写真編~

撮影会に行く機会があったため試してみた。OculusQuestで閲覧する方法は後述するが是非ダウンロードして見て頂きたい。なお写真は明るさ等レタッチをPC上でしている。別途、“Oculus Quest その4 VR180ギャラリー編”に写真をまとめてあるので、そちらもチェック頂きたい。

1cmでもカメラの手前に指が出ると写ることに留意すること。折り畳み時に360度を2つのレンズでカバーすることができるのだから当たり前ではある。

 

撮影と結果~動画編~

動画も専用形式で保存されるが同じく後述のアプリで変換可能だ。
駅に電車が入ってくる動画も撮影したが、今回は割愛。時間がある時に改めて3D動画を撮影し改版する。

 

撮影した画像・動画の変換

Insta360で撮影するとINSP形式で写真が保存される。これらはスマホ上のアプリから変換するかカメラをPCに直接接続して取り出し、専用アプリでJPEG変換できる。

変換は単に左側のFootagesにINSPファイルをドラッグし、メニューから変換するだけだ。

自分で撮ったものやダウンロードしたものを閲覧する方法(Quest1の場合)

OculusQuestをPCにUSBで接続。DCIMフォルダの下にフォルダを作成しJPEGを配置するだけだ。QculusQuestは中身はAndroidなのでフォルダは見慣れた人も多いだろう。PCでの認識に時間がかかる時があるようで数分放置しないと認識しないことがある。また認識した後にQuest内で許可を与える必要がある。Quest内ではギャラリーから閲覧可能になるがDCIM配下にフォルダを作成した場合は、フォルダ名がアルバム名になることを覚えておこう。

閲覧時、写真毎に”2D”から”VR180″に設定する必要がある。自動で選択されることは執筆時点では無い。
これは一度保存すれば記憶してくれるので大した問題ではないはずだ。

さて。前述の写真を見てどう見えるだろうか? 目の前にいるような臨場感があるはずだ。是非試していただきたい。

2020年5月ごろよりoculus TVが導入された。こちらでもVR180の写真は閲覧できるがフォルダ毎の移動ができない。そのため引き続きアプリからgallaeryを利用するのが望ましい。

 

自分で撮ったものやダウンロードしたものを閲覧する方法(Meta Quest2の場合)

Meta QuestをPCにUSBで接続。

  • Meta Quest TVアプリで見る場合
    DCIMフォルダの下にフォルダを作成しJPEGを配置するだけだ。Quest1と同様に執筆時点でMeta Quest TVで閲覧が可能。
    バグが多くVR180画像を見ると落ちることが多い。また動作が重い。
  • immerGalleryで見る場合(有償版オススメ)
    規定のフォルダにファイルを置く事で閲覧可能。自動でVR180画像を認識してくれ速度も速い。時間とコスパを考えるならばこれを利用する。

QculusQuestは中身はAndroidなのでフォルダは見慣れた人も多いだろう。PCでの認識に時間がかかる時があるようで数分放置しないと認識しないことがある。
Quest2でWindows10/Windows11で認識せずにデバイスマネージャーで”Oculus XRSP Interface”が警告でCODE 10を表示している場合は、スマホから開発者モードをONにしてあげる必要がある。開発者モードでない場合は同インターフェイスはエラーが出る。

 

Google製VR180対応アプリ

Googleからのアプリがリリースされている。本ツールはWindows・Mac・Linuxで動作可能だ。
同社がVR180に力を入れていることが読み取れる。

 

VR180形式でのポートレート撮影とレタッチのチェックポイント

筆者が考えるInsta360 EvoでのVR180形式でのポートレート撮影ポイントは下記の通り。

  • 手や指は顔より前にあると立体感が増す。1m以内のものは立体的に写り、それより遠いものは2Dの360度写真とさほど変わらない。凡そ手を伸ばした距離がその距離と考えることができる。人形などのモコモコする感じも手間にあると柔らかさが立体的。
  • カメラから1cmでも指が前に出ると、180度視界の範囲に入ってしまい写ってしまう。
  • 膝をついたり、椅子に座って撮影する場合、撮影者自身の一部(特にひざ下)も写ってしまう。
  • 通常の姿勢で座っている相手を撮影する場合、膝上・顔の高さぐらいで、一般的な腰上の高さのプロフィール写真のようなイメージ。その上で180度見渡せる。
  • 180度視界が撮影される関係上、かなり近づかないと画像の総面積に占める人物の画素数の割合が低くなる。結果、解像度が落ちてしまう。片目3040×3040ドットのサイズだが面積比では少ない。
    この写真の例でみると筆者の足も写りこんでいるが、この距離で撮影しても被写体の面積はそれでも小さく感じるはずだ。カメラの位置は凡そ、実際の目の両眼の位置と同じになるので解像度と現実のジレンマがある。※改善するにはさらに高画質のカメラが必要。
  • 横方向だけでなく縦方向も180度のため、天井の光源も直接入ってしまう。そのためヒストグラムではこのようになる。結果、室内では暗く映る傾向にある。
  • OculusQuestで表示する場合は、例えば白い生地はギリギリ折り目等が見えるレベルで、明るさを上げてしまった方がヘッドセット内で綺麗に表示される。投影側デバイスの性能を意識する。

 

撮影可能なバンド系のライブ映像等も撮っているが会場の明るさが足りないので、現時点では未掲載。
以下ギャラリー。新しいものほど上位に追記される。OculusQuestで見る場合は、ダウンロードしてDCIMフォルダの配下等においてOculusQuestのギャラリーから閲覧可能だ。

 

最後に

今どきのスマホカメラと比べると画質は暗めだが、実際に3Dで見れること、小型であることを考える良いカメラだと考えられる。VRヘッドセットを持っている人は是非試してみると良いだろう。

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